前回のコラムから2回に分けて、ロシアとウクライナの衝突による、世界の食品・飲料への影響についてご紹介しています。1回目は食品原料である小麦、トウモロコシ、ひまわり油をピックアップしました。2回目の今回は、肥料やアルミニウムなど非食品原料などを取り上げ、食への影響を考察します。(出典:MINTEL(フジ日本精糖調べ))
▼前回の記事は下記リンクから
まずは農産コストの上昇に関してです。ロシアは肥料の世界最大の輸出国です。すでに窒素肥料の原料である天然ガスの高騰により価格上昇している肥料ですが、軍事衝突により価格はさらに上昇すると予測されています。
一方ウクライナは、世界で生産されるネオンガスやアルゴンガスなどレアガスの約50%を生産しています。レアガスはマイクロチップなどに使用される半導体の製造に必要であるため、自動化が進む農産にも影響を及ぼす(農耕機械の価格上昇など)可能性があります。
「ロシアとウクライナの衝突による「食」への影響①」でも述べたように、飼料原料のトウモロコシの価格上昇が危惧されています。ここに上で述べた農産コストの上昇が重なって飼料の価格も上がり、間接的に畜肉の価格上昇につながると予測されています。この価格上昇は消費者や企業の行動にも影響するかもしれません。消費者はこれまでよりも肉を避けた商品選択(植物性原料を使用した商品の優先度の高まり)をしたり、企業は食品ロス削減に注力することでこれまで以上にコストカットを進めたりする可能性があります。
ロシアは世界の約6%のアルミニウムを生産しています。アルミニウムはこの度の軍事衝突以前から供給不足や人件費・物流費の高騰などで価格が上昇しており、今後飲料や缶詰め製品など最終製品の価格は上昇すると予測されています。
コロナ禍により人々の消費行動には変化がありました。例えばイギリスの16歳以上の消費者を対象として各種商品(食品、消費財、日用品など)の買いだめ率の変化を調査したところ、2020年は36%、2021年は20%、2022年は17%と、パンデミックの落ち着きに伴い年々減少していることがわかりました。しかしこの度の軍事衝突で物価上昇が予測されているため、再び買いだめ率は上昇していくかもしれません。
ロシアとウクライナは多くの食品・非食品原料の生産国であり、この度の衝突による世界的な物価上昇は避けられないでしょう。実際に一部の消費者は最終商品の価格上昇を感じており、コロナ禍により変化した消費者行動は、今後また新たな形へと変化していく可能性があります。前回の記事は下のリンクからご覧ください。
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