近年はコロナ禍もあり、健康のために食品機能により一層の関心が高まっています。国内では、健康の維持・増進の関する機能を食品のパッケージに謳える保健機能食品制度が存在し、その内訳として、「特定保健用食品」、「機能性表示食品」、「栄養機能食品」の3種類が存在します。それぞれ耳にしたこともある方も多いかもしれませんが、それらの違いがはっきり分からない方もいるのではないでしょうか。今回は各種類の特色についてご紹介します。
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特定保健用食品とは、食品が有する特定の保健の用途を表示して販売される食品になります。例えば「おなかの調子を整えます」といった保健用途になります。特定保健用食品として販売するためには、食品の有効性や安全性について審査を受け、国の許可を受ける必要があります。許可を受けた食品には許可マークが付され、一目で特定保健用食品と分かるようになっています。
機能性表示食品とは、事業者の責任において科学的根拠に基づいた機能性を表示した食品になります。販売前に、安全性及び機能性の根拠に関する情報などを消費者庁長官へ届け出る必要があります。一方で、特定保健用食品とは異なって、国の許可を個別に受けるものではありません。
栄養機能食品は、特定の栄養成分の補給のために利用される食品で、栄養成分の機能を表示するものになります。販売するにあたっては国による個別の審査を受ける必要はなく、既に科学的根拠が確認された栄養成分を一定の基準量含んでいれば、栄養成分の機能を表示することができることとなっています。謳うことが可能な栄養成分の種類と機能は限定されているものの、国による個別の審査を受ける必要がない点は特徴的です。
3種類の保健機能食品を紹介しましたが、それぞれはどのように使い分けられているのでしょうか。最初に導入されたのは、1991年から開始された特定保健用食品制度です。当時としては、世界でも新しい、食品の3次機能である生体調節機能に着目した制度です。その後、2001年に栄養機能食品制度が導入されました。保健機能食品は、医薬品ではないものの生体調節に関与することから、特に行政において、健康長寿や医療費削減の観点で期待されてきました。しかしながら、栄養機能食品は対象となる栄養成分と謳うことが可能な機能が限定的なこと、また特定保健用食品は最終製品でのヒト臨床試験が行う必要があり、審査にお金と時間がかかることから思うように拡大していかないという課題がありました。2015年に導入された機能性表示食品制度は、事業者の責任で届出を行う形式を採用することや科学的根拠の届出に機能性に関与する成分の研究レビューを認めることで、届出にかかる費用や時間が大きく抑えられています。現在では6000を超える商品の届出がされており、食品業界の中でも大きな存在感を放っています。
今回は、特定保健用食品、機能性表示食品、栄養機能食品について紹介しました。社会の高齢化やコロナ禍もあり、保健機能食品に対するニーズは今後も根強いです。訴求される機能性の幅も年々広がっており、世の中の動向を踏まえた、
商品開発に今後も注目です。
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参考文献
消費者庁
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_health_claims/ (2023年9月26日閲覧)
営業本部営業戦略G所属 2018年入社。
ゼラチンの基礎研究業務や機能性原料の営業業務への従事歴を持ち、現在はそれらで培った情報分析能力を生かし、機能性原料販売の企画・立案業務に取り組む。
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