2024年3月21日、株式会社ローソンは2024年上期の商品戦略を発表しました1)。発表では、デジタル環境の進化やインフレなどの社会環境を背景に「タイパ」、「コスパ」、「ウェルパ」のニーズが今後も強まっていくと想定しております。そしてこれらのニーズに対応した商品を発売していくと発表しました。なぜローソン社がこのような商品戦略を採用することになったのでしょうか。インターネット調査や他社の動向を踏まえて解説します。
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ローソンが発表した商品戦略には、「タイパ」、「コスパ」、「ウェルパ」がキーワードとなっていました。「タイパ」はタイムパフォーマンスの略で時間効率を、「コスパ」はコストパフォーマンスの略で費用対効果を、「ウェルパ」はウェルビーイングパフォーマンスの略で自分自身や周りの環境を含めて居心地の良い状態を効率よく求めることを表しています。いずれのワードも「効率」を意識した内容になっています。
現代社会は効率重視が高まっており、Appliv TOPICSの調査では半数以上の人がタイパを意識していることが報告されています2)。20歳から59歳を対象にした本調査では、若い年代ほどタイパの意識が高いことも報告されています。タイパを意識すると回答した人に「日常生活でタイパを意識する場面」を質問したところ、食事・料理がTopでした。食事・料理のタイパを意識する人に「タイパを上げても妥協したくない点」を質問したところ、「美味しさ」、「栄養バランス」が1位、2位でした。
また、セイコー時間白書2023 では「タイパを重視する時間」があると答えたのが87%に達しました 3)。「タイパを重視する具体的な時間は?」という質問に対して、料理と答えた人は37.0%となり、睡眠 (39.3) に続き2番目に多い回答となりました。タイパを重視する時間があると答えた人を対象に「タイパのために利用しているツール」を質問したところ、69.1%でした。具体的な項目として冷凍食品 (23.6%) がTopとなり、料理関係では食洗機 (9.9%) が4番目、食材宅配サービス (4.4%) が9番目に連ねています。
タイパなどの重視の流れが、食事・料理においても反映されていることが調査からも裏付けられています。
「タイパ」、「コスパ」、「ウェルパ」を重視、反映した商品をローソンは4月から順次発売していきます。具体的には4/2 発売の「具!おにぎり まるで明太のり弁」 (ちくわの磯辺揚げ、たまご焼き、白身魚フライ、明太子をご飯ではさんだ、「のり弁当」をお箸を使わずにおにぎり感覚で食べられる商品) を皮切りに、「振ることでドレッシングや具材が混ざり、手間がかからずお肉や野菜、パスタを手軽に食べられるパスタサラダ」、「“ながら食べ”がしやすくプチ贅沢な気分が感じられるスティック状のケーキ」、「30種類以上の栄養素が入ったベーカリー」などになります。おにぎり、パスタ、ケーキなど様々なラインナップが予定されており、どのように消費者に受け入れられていくのかは注目です。
ローソンのように、「タイパ」、「コスパ」、「ウェルパ」を重視した商品開発は、他社でも見られています。前述の調査で、「タイパ」のツールとして冷凍食品が挙げられていましたが、近年では冷凍弁当市場が活気をみせています。三ツ星ファームやナッシュのような冷凍宅配弁当が人気ですが、2024年1月には味の素株式会社が冷凍宅配弁当「あえて、」をリリースしました。「完全メシ」で話題の日清食品株式会社は、2023年12月に「冷凍完全メシ DELI」を開始しました。冷凍の完全メシを宅配する本サービスは、「タイパ」、「ウェルパ」をまさに意識しています。このような商品の展開は、今後ますます進んでいくと考えられます。
今回はローソンが発表した商品戦略から、食のトレンドを追っていきました。食の「効率」が特に重視されていることがわかっていきました。ローソンの新商品の売れ行き次第では、この流れを加速させる形になるでしょう。ますます動向に目が離せません。
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参考文献
1) 2024年度上期の商品戦略を発表
「タイパ」・「コスパ」・「ウェルパ」のニーズに対応した商品を順次発売https://www.lawson.co.jp/company/news/detail/1485340_2504.html
2) Appliv TOPICS(アプリヴトピックス) タイムパフォーマンス意識調査 若い人ほどタイパを重視 効率を求めるのは料理・掃除などの家事 https://mag.app-liv.jp/rakuta/archive/139936/
3) セイコー時間白書2023
https://www.seiko.co.jp/csr/stda/archive/2023/detail.html
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