フランスの脱プラスチック政策

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フランスでは、海洋プラスチック問題だけでなく、内分泌攪乱作用、発がん性など、包材、保存容器に使われている一部のプラスチックの人体への有害性が大きく報道されました。この報道を受け、量り売りされる商品が多くなり、脱プラスチックの道のりを進んでいたフランスですが、今回の新型コロナウイルスの騒動により、消費者のプラスチック離れに歯止めがかかりました。そこで、各企業はプラスチックの代替素材の開発に取り組み始めました。

フランスのプラスチック離れについて

フランス政府は、すべてのプラスチック包装の段階的廃止を目指し、今年の2月に循環経済法を公布しました。 

2021年1月1日 ストロー、使い捨てのナイフやフォーク、マドラーの禁止
ファーストフード店で利用されるポリスチレン容器の禁止
2022年   1.5kg未満の果物と野菜のプラスチック包装の禁止 
公共施設における給水機設置の義務化。企業におけるペットボトル飲料の無料配布の禁止
2023年 ファーストフード店内での使い捨て食器の禁止(再利用可能なものと置き換え)
2025年 再生プラスチック利用100%を達成
2030年 PETボトル入り飲料の販売量を50%削減

脱プラスチックの対応策は、リデュース(発生抑制)、リユース(再使用)、リサイクル(再生利用)の 3Rの組合せと言われますが、フランスで普及したのがリデュースを極めた量り売りです。この新法でも2021年1月1日より、消費者が容器を商店に持ち込むことを可能にすると定められています。

量り売りについて

写真① カルフール パリAuteuil店

既にフランスのハイパーマーケットとスーパーマーケットの70%近くが量り売りコーナーを設けていて、半数以上は野菜果物売場かオーガニックコーナーに位置しています。当初、ドライフルーツや、穀類に限られていましたが、現在は、液体品(オイル、ビネガー、水、ワイン、洗剤)、ペットフードまで量り売りで購入できるようになりました。今後の課題は、ナショナルブランド品を取り込むことで、既にケロッグやダノン、ロレアル等が量り売り販売のテストを始めています。 また、商品の形状によって様々なディスペンサーが考案されていて、電気が不要でメンテが容易なQualivrac等がその例です。(写真①)

スーパーマーケット以外にも量り売り専門店があります。『Day by Day』は、2013年の創業で既にフランチャイズで59店舗を展開しており、2020年にはさらに25店舗が増える予定です。店舗の平均面積は53㎡で約1,000アイテムを販売しています。Day by Dayの創業者は、消費者の環境意識の高さだけに頼るのではなく、同等の品質でも、スーパーマーケットよりも価格を低く抑えること、また少量購入が可能なため無駄がなく、経済的なメリットがあるということが、量り売りの普及には不可欠であると言っています。また、必ずしもスーパーマーケットでは徹底できていない衛生面も、ディスペンサーの洗浄プロトコールを作り、解体、洗浄、消毒、乾燥作業を行うことで解決できるようになりました。

コロナウイルスによる影響

こういった中、新型コロナウイルスが消費者のプラスチック離れを一掃する結果となりました。 例えば野菜果物売場ではパッケージに入った製品が飛ぶように売れ、プラスチックが衛生上重要な役割を担ってきたことを再確認することとなりました。また、今回のような危機に直面すると、消費者は、生産が工業化された製品に安心感をおぼえます。生産工程を厳格にコントロールし衛生を保つノウハウを蓄積してきた食品産業が、他業界と一線を画す要素です。
食品コンサルタントのクザビエ・テルレ氏は「包装ゼロの世界は非現実的となり、保護、利便性、衛生という包装のメリットが再びリマインドされている。今後の傾向は、有用で、かつより環境に配慮した包装への移行が重要視されるであろう。」と予想しています。
日本と同様にフランスも脱プラスチックの波をビジネスチャンスとして捉え、環境ビジネスのメジャー企業VeoliaやSuez、石油会社のTotalなどの仏企業が再生コンポジットやケミカル・リサイクル、代替品の研究に取り組んでいます。中でもCarbio社は、酵素を用いた独自技術のケミカル・リサイクルを提案。この技術を推進するための開発共同企業体をロレアル、ペプシコ、ネスレ・ウォーター、サントリーが形成し、注目されています。特殊酵素によりプラスチックを70℃という低温、常圧で解重合し、元のモノマーに戻す技術で、今まで機械的方法では難しいとされていた色付き、多層構造、ポリエステル素材も比較的安価にリサイクルすることができるのが特徴です。この技術は2025年に再生プラスチック利用を100%にするという政府目標の達成を早めることができるソリューションではないかとみられています。
こういった研究成果が実用化するまでの間、食品メーカーは、トラディショナルな素材を用いてプラスチックの使用を削減する試みをしています。ハムと惣菜の大手メーカーのフロリー・ミッションは、グラタンをポプラの木の容器に替えることによりプラスチックの使用量を80%削減。ポプラの木と製品の間には今後削減される予定cPETと硫酸紙が使用されています。しかしこの容器は、石油由来の標準化されたポリマーの5倍のコストがかかります。また、Nestléの植物性擬似肉ブランドHertaは、リサイクルが難しい多層構造の包装を廃止し、単一素材に変更しました。Androsのコンポートのパウチも単一素材に移行、パイントサイズのアイスクリームのトップメーカーCarte D’Or (シェア42%)は、2025年までにバージンプラスチックの使用量を50%削減するというユニリーバの目標に従い、主要品である17種のアイスクリームとシャーベットのPP容器を紙+PEフィルムの容器に移行しました。これによりプラスチック使用量を90%、110トン相当を削減することになります。 「環境を尊重する製品を求めている消費者に応えることを願っています。 今のコロナ危機に左右されてこの決定を見直すことはありません。」と同社のアイスクリーム事業部長は語っています。

RIA 2020年4月号、e-marketing 2020年1月24日、LesEchos 2019年6月25日号、
LSA 2020年1月22日号より

 

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