チキソトロピーとは、一度壊れた構造が時間の経過とともに回復する現象です。例えば攪拌によって粘度が低下した溶液が時間の経過とともに再び粘度が上昇した場合、チキソトロピー性があると言えます。これはゲルとゾルの中間のような物質が示す性質です。この現象は日常生活でもよく見られ、ペンキの場合は塗布した後に静置しておくと粘度が回復することで垂れにくいという特徴があります。また食品ではケチャップや牛乳で固まるミルクデザートがチキソトロピー性を持ちます。ケチャップは容器から出す際に構造が壊れて流動性が生まれますが、食品にかかった後は構造回復することで食品の上に留まります。またデザートベースはゲルの様に固まった状態からかき混ぜた後、しばらく静置しておくことで再びゲルの様に固まります。
LMペクチンやイオタカラギナンを使用することで、チキソトロピー性を持つゲルを作ることが可能です。
野菜や果実の果皮に含まれる増粘多糖類です。分子鎖同士がカルシウムイオンにより結合することでゲル化します。LMペクチンの種類や添加量、カルシウムイオンの濃度等を調整することによってやわらかく、弾力のあるゲルから、崩しても再びまとまるゲル(チキソトロピー性)まで、その度合いをコントロールできます。先ほどのデザートベースの例はまさにLMペクチンのチキソトロピー性を利用しています。
【関連情報】
海藻に含まれる増粘多糖類です。イオタカラギナンの添加量、カルシウムイオンの濃度等を調整することによって、LMペクチンのようにやわらかく、弾力のあるゲルから、崩しても再びまとまるゲル(チキソトロピー性)まで、ゲルの性質をコントロールできます。
LMペクチンで作ったゲルを使用して、チキソトロピー性を実際に見てみましょう。
チキソトロピー性はアイデア次第で様々な製品に応用できる可能性があります。チキソトロピー性を持つ物質はゾルの様な流れやすさとゲルの様なまとまり性を併せ持つため、嚥下困難者向けの水分補給ゼリー等に最適です。また非食品分野では、ペンキや薬剤、洗剤を塗布したままその場に留めておきたい場合に、チキソトロピー性が役に立ちます。ご相談などありましたら、お気軽にお問合せください。
参考文献
國崎直道「食品多糖類」、2001年。
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