増粘多糖類を使用したことがある人なら一度は溶解時の「ダマ」に頭を悩ませた経験があるかと思います。本コラムではダマについて簡単に解説し、ダマ形成を防ぐための溶解のコツについてご紹介します。
増粘多糖類は、水と親和性の高い素材で有り、水和して分子が広がることで増粘します。しかし、増粘多糖類の粉末が分散する前に表面の分子が水和してしまうと、表面に位置する分子の膨潤が起こります。膨潤した分子が妨げとなり粉末の中まで水が浸透しにくくなってしまいます。これが「ダマ」(又はままこ)と呼ばれる状態です。水との親和性が高い増粘多糖類や、水が十分に存在する高粘度溶液ではダマを形成しやすくなります。一度、形成されたダマを完全に溶解させるためには強いせん断を加えたり温度を上げたりする必要があるなど、より労力がかかってしまいます。そのため、ダマを作らないように、注意して操作する必要があります。
もっともよく用いられる溶解方法です。乾燥状態の増粘多糖類を、グラニュー糖などの分散しやすい粉末原料と粉体混合してから溶媒に投入します。グラニュー糖粒子が多糖類粒子の間に入ることで粒子距離が広がり溶媒中での分散を助け、ダマの形成を防ぐことができます。
例としてペクチン溶液の調整方法をご紹介します。
高速せん断が可能な機器によりダマが形成される前に分散でき、仮にダマが形成されてしまっても物理的に破壊することができる方法です。一方で、大きなダマができてしまった際は、ダマを破壊するのは困難になります。この場合は、よりせん断力の強いホモミキサー等の使用が有効ですが、分子が切れてしまうといった懸念もあるため、注意が必要です。前述の粉体混合と合わせて用いられることも多く、効果的にダマの形成を抑制することができます。
増粘多糖類が溶解しない油や水飴、エタノールなどに、増粘多糖類を予め分散させます。水分がない/少ない溶媒中では、増粘多糖類は膨潤しません。そのためきれいに分散した状態を作ることができます。ここに水を投入することで、ダマを形成することなく溶解させることができます。この方法は、意図的に増粘多糖類が溶解できない条件を作り、しっかり分散した後に溶解できる条件へと変えることでダマの形成を防ぎます。
増粘多糖類は少量で高い効果を発揮する反面、溶解方法など使い方が難しい場合があります。ご不明点等ございましたら、お気軽にご相談ください。
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