ガラクトマンナンはマンノースとガラクトースが結合した多糖類で、さまざまなマメ科植物の種子の胚乳から得られます。本コラムではガラクトマンナンの基礎から食品への応用例まで解説していきます。
ガラクトマンナンはマメ科の植物から抽出される多糖類でβ-D-マンノースの主鎖とα-D-ガラクトースの側鎖から構成されています。由来原料によってマンノースとガラクトースの比率が異なることが知られており、それぞれ異なる名称で呼ばれています(表1)。
名称 | マンノース:ガラクトースの比率 | 由来原料 |
---|---|---|
フェヌグリークガム | 1:1 | マメ科フェヌグリーク(Trigonella Foenum Graecum)の種子の胚乳部分 |
グァーガム | 2:1 | マメ科グァー(Cyamopsis tetragonolobus TAUB.)の種子の胚乳部分 |
タラガム | 3:1 | マメ科タラ(Caesalpinia spinosa(MOL.)(O.KUNTZE))の種子の胚乳部分 |
ローカストビーンガム (カロブビーンガム) |
4:1 | マメ科イナゴマメ(Ceratonia siliqua L)の種子の胚乳部分 |
カシアガム | 5:1 | マメ科エビスグサモドキ(Cassia tora)、エビスグサ(Cassia obtusifolia)の種子の胚乳部分 |
表1に記載したマンノースとガラクトースの比率は規則的に結合しているわけではなく、マンノースだけの領域、マンノースとガラクトースの両方が存在する部分があります(図1を参照)。
ここではグァーガム、タラガム、ローカストビーンガムを中心に説明します。
ガラクトマンナンはガラクトース比率が高いほど溶解性が高くなります。したがって、ガラクトース比率の高いグァーガムは水でも溶解することができます。一方、ガラクトース比率の低いローカストビーンガムは水では一部が溶解するのみであり、溶解には85℃程度の加熱が必要になります。タラガムはグァーガムとローカストビーンガムの中間の溶解性を示します。
ガラクトマンナンは弱いシュードプラスチック性を示します。また曳糸性はグァーガムが最も高く、タラガム、ローカストビーンガムの順に低くなります。
ガラクトマンナンは中性多糖類のため一般的に他の成分の影響を受けにくいです。
①pHの影響
グァーガム、タラガム、ローカストビーンガムは酸性~中性域にかけて粘度はほとんど変わりません。しかしながらアルカリ性域では粘度が低下します。
②耐塩性
食塩や塩化カルシウムといった中性塩の影響を受けません。
③耐熱性
100℃以下の加熱ではほとんど影響はありません。しかしながら120℃40分ほどの加熱に対してはローカストビーンガム>タラガム>グァーガムの順に耐熱性が強いです。
ガラクトマンナンは単体の水溶液ではゲル化することはありませんが、その他の多糖類を併用することでゲル化することが知られています。例えばκカラギナンは寒天のように硬く脆いゲルを形成しますが、ローカストビーンガムを併用することにより弾力性のあるゲルになります。また、キサンタンガムとも相乗効果がある事が知られています。
(詳細はキサンタンガムとは~基礎から徹底解説をご覧ください。)
グァーガム | タラガム | ローカスト ビーンガム |
|
---|---|---|---|
ゼリー | ● | ● | |
プリン | ● | ● | |
冷菓 | ● | ● | ● |
調味料 | ● | ● | |
焼き菓子 | ● | ||
パン | ● |
ガラクトマンナンは種類により性質が異なってきます。単体使用ではもちろん、他の多糖類との相乗性もあることから幅広い用途で使用できます。ぜひ食品開発にお役立てください。
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